手間暇かけて水揚げされる伝統の延縄業〜小伊津アマダイ〜

手間暇かけて水揚げされる伝統の延縄業
〜小伊津アマダイ〜

山陰の静かな港町・小伊津。ここで水揚げされる「小伊津アマダイ」は、
京都の料亭をはじめ、全国の食通を唸らせる逸品です。
しっとりとした甘み、ふっくらとした身質。そんな小伊津アマダイの魅力を、
日々海と向き合う漁師・金築さんに伺いました。

Q.小伊津アマダイについて教えてください

A.「小伊津アマダイ」は、島根県・小伊津漁港で水揚げされるアマダイで、延縄漁という昔ながらの漁法で釣り上げられています。網縄漁とは違い魚体が傷つかず、身にぬめりがあって艶のある鮮度の高い状態で水揚げをすることができます。

Q. 延縄漁とはどんな漁ですか?

A.長さ600mの幹縄に枝縄100本を付けて、それぞれ100本の針に餌をつけて海に流す漁法です。10個程度の幹縄を海へ沈めています。
漁が終わったあとは翌日の漁に備えて、漁で使った縄を手作業で整えていきます。妻と二人で一つずつ丁寧にほどいています。
すべての針にひとつひとつ餌となる油を塗ったイカをつけていく作業を、毎日続けています。

Q.アマダイと真鯛の味の違いは、どう感じられますか?

A.真鯛は白身でスッと締まった味わいです。一方でアマダイは身に水分があり、口に入れた時に「甘い」と感じるんです。だから「甘鯛」と呼ばれるんでしょうね。焼いたときでも、ひと口でその違いが分かると思います。

Q.魚はすぐに食べるよりも寝かせた方が美味しい、とも聞きます。

A.ええ、鮮度が良いのも大事ですが、アマダイは一晩ほど寝かせた方が旨味が増します。
家庭で食べる場合でも、きちんと内臓を取り除いておけば2日くらいは美味しく食べられます。
料理屋さんではさばき方や保存の仕方でさらに鮮度を長持ちさせる工夫もしていますよ。

Q.味や質については、季節によって違いはありますか。

A.味そのものは年中あまり変わらないんですよ。ただ夏は卵を持っている時期なので、魚の状態としてはいい。400〜600gくらい大きさのものが多く求められ、一番扱いやすいサイズで美味しいとされます。

Q.金築さんのおすすめの食べ方を教えてください。

A.やっぱり刺身が一番です。大きいものは刺身に、小ぶりなものは吸い物や煮付けにするのもいい。
私は焼きもよく食べます。特に頭の部分はゼラチン質があって旨いんですよ。
大きさに合わせて料理法を変えるのがコツですね。

Q.漁の朝は早いんじゃないですか。

A.日の出に合わせて出港します。遠くへ行くときはもっと早くなることもあります。昼前には漁から戻り市場に持ち込んで、小さめのものは地元、大きいものの多くは京都方面へ出荷しています。

Q.地域のお祭りなど、漁と関わる行事もあるのでしょうか。

A.春の「海幸祭」、金比羅祭や龍宮祭などの祭りがあります。
昔から続く行事で、漁の安全や豊漁を神様に報告する大切な機会です。
漁師だけでなく地域全体の行事として残っているんですよ。

Q.漁師を続けていて、嬉しいことや楽しいことは。

A.やっぱり仲間と一緒に良い魚を獲って、帰ってから酒を酌み交わすことですね。最近は若い漁師も増えてきました。修行を経て独り立ちする姿を見ると、自分のことのように嬉しくなります。アマダイ漁をやりたい人がいたら伝えていきたいです。

小伊津の海で獲れるアマダイには、自然の恵みと漁師の丁寧な手仕事が詰まっています。
代々受け継がれる知恵と誇りが、その一尾一尾を特別な存在にしているのです。
ぜひ一度、金築さんたちの手で届けられる「小伊津アマダイ」を味わってみてください。

小伊津アマダイを味わえるお店!

味処 おかや

日本海であがった海鮮を使ったメニューがおすすめです。
冬は松葉蟹を使ったコースもおすすめです。
当店独自の蟹コースを是非召し上がってみて下さい。
また、ご家族やお子様連れのお客様にも安心してご滞在頂ける個室もございます。
アレルギーなどにも極力ご対応しますので、お気軽にお問い合わせをお待ちしております。

〒691-0001 島根県出雲市平田町2390-3
0853-63-3167
11:30-14:00[L.O13:20]、18:00-21:00[L.O20:00]
月曜日、日曜日の夜(昼はご予約のみの営業)