出雲の地酒
神々の国に、酔いしれる


出雲の食文化を語るとき、欠かせないのが地元で愛され続ける「地酒」です。
古来より“日本酒発祥の地”とされる佐香神社(松尾神社)を擁し、酒造りは“神々の国”出雲の風土とともに歩んできました。清らかな水、豊かな米、そして四季の移ろい。その恵みが、この地ならではの個性豊かな酒を育んできたのです。
出雲そばとともに盃を傾ければ、その香りや旨みはより一層深く感じられ、旅の記憶を鮮やかに彩ります。
本特集では、出雲を代表する4酒蔵が誇る8銘柄をご紹介。
伝統の技と探究心が生み出す味わいを通して、
出雲の“酒の物語”をぜひお楽しみください。
旭日酒造


生酛純米+旭日 改良雄町70
酵母無添加で醸す生酛純米は、
味の幅や伸びやかさが魅力的、燗でさらにふくらみます。
| 使用米 | 精米歩合 | アルコール度数 | おすすめ温度 |
|---|---|---|---|
| 改良雄町 | 70% | 14度 | 冷~燗 |


純米吟醸 八千矛
純米吟醸は優しい香りと味わいが特徴です。
口当たりの良い器で品の良さを楽しんでください。
| 使用米 | 精米歩合 | アルコール度数 | おすすめ温度 |
|---|---|---|---|
| 山田錦 他 | 55% | 15~16度 | 冷・常温 |


富士酒造
出雲富士 手づくり純米
契約農家さんに減農薬・減化学肥料栽培で栽培していただいた佐香錦を使用し、スッキリお米の旨味を感じる純米酒です。
| 使用米 | 精米歩合 | アルコール度数 | おすすめ温度 |
|---|---|---|---|
| 出雲市産佐香錦 | 65% | 15度 | 冷~燗 |


出雲富士 純米大吟醸 天の叢雲
出雲市内で特別契約栽された山田錦を35%まで磨き、斐伊川の伏流水を仕込み水に使用し低温で醸した、出雲富士最高峰のお酒です。
| 使用米 | 精米歩合 | アルコール度数 | おすすめ温度 |
|---|---|---|---|
| 出雲市産山田錦 | 35% | 15度 | 冷 |




板倉酒造


純米大吟醸 佐香錦
島根県の酒造好適米である佐香錦と島根酵母を使い、出雲杜氏の山陰吟醸造りで醸した純米大吟醸。
| 使用米 | 精米歩合 | アルコール度数 | おすすめ温度 |
|---|---|---|---|
| 島根県産佐香錦 | 50% | 15度 | 冷~常温 |


無窮天穏 天雲
飲みやすいけど余韻は長い。飲む度に天雲のような心地よい余韻が身体に漂い幸福感に長く浸っていられる酒です。
| 使用米 | 精米歩合 | アルコール度数 | おすすめ温度 |
|---|---|---|---|
| 島根県産改良雄町 | 60% | 13度 | 常温~燗 |


酒持田本店
ヤマサン正宗 佐香錦 純米吟醸
酒造りの神様を祀る出雲市の「佐香(さか)神社」。
その名を冠した島根県のブランド酒米「佐香錦(さかにしき)」で造った純米吟醸です。
| 使用米 | 精米歩合 | アルコール度数 | おすすめ温度 |
|---|---|---|---|
| 佐香錦(島根県産) | 60% | 15度 | どの温度でも |


ヤマサン正宗 出雲神庭
出雲市斐川町でかつて神事の際に神饌として用いられた紫黒米を使い、2006年に生産者と共に造り上げた桃色のお酒です。
| 使用米 | 精米歩合 | アルコール度数 | おすすめ温度 |
|---|---|---|---|
| 五百万石、古代米(島根県産) | 70% | 16度 | 冷・常温 |






出雲は日本酒発祥の地
出雲市は日本酒の発祥とされる地です。出雲神話や出雲国風土記には、出雲の地と日本酒の深い関連が残されています。「ヤマタノオロチ伝説」では、須佐能袁命(スサノオノミコト)が特別なお酒「八塩折(やしおり)の酒」を使って八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治しました。この酒は非常に度数が高く、大蛇を酔わせるほどのものであり、古くから高品質な酒造りの技術があったことが伺えます。さらに、出雲の「佐香神社」の「佐香」は「酒」の語源となる言葉であることからも、ここが日本酒発祥の地であると考えられています。日本酒造りの神様クスノカミを祀っており、約1300年の歴史があります。神社では年に一度酒造が許可されており、神職が杜氏をつとめ、御神酒(どぶろく)を醸します。そして、「万九千(まんくせん)神社」では、全国の神々が出雲に集まる神在月に、「直会(なおらい)と呼ばれる酒宴を開くとされています。神々はここで楽しい時間を過ごし、来年の再会を約束してそれぞれの地へ帰って行きます。






出雲の日本酒とその製法
出特有の酒文化の中心には、「出雲杜氏」という杜氏集団を中心に酒造りも独自の文化を歩んできました。島根の米を使い独自の味を持つ日本酒が受け継がれています。酒造りの現場を取り仕切る責任者を「杜氏(とうじ)」、杜氏のもとで酒造りに従事するその他の技術者を「蔵人(くらびと)」と呼びます。出雲杜氏の造る昔ながらの酒は酸度が高く、アミノ酸由来のうま味や甘味、渋み、苦味などがバランスよく混ざり合ったどっしりとした味わいが特徴の一つで、口に含むと複雑な味が広がります。濃い味付けの料理にも負けない力強さがあり、さしみ醤油などに使われる濃厚な再仕込み醤油ともよく合います。近年は造りの種類の多様化してきて、出雲杜氏の酒質を継承しつつ、口当たりのよいスッキリと端麗なタイプのお酒も造られています。


















佐香神社(松尾神社)
佐香神社(松尾神社)は、日本最古の酒造りの歴史を持つ神社で、奈良時代にまで遡る歴史があります。この神社は主祭神として「クスノカミ」という酒造りの神様を祀っており、古代から全国の酒造りに携わる人々に信仰されてきました。その歴史は、奈良時代に編纂された「出雲国風土記」にも記録されており、この地で神々が集まり、長い間にわたって酒造りを行い、酒宴を開いたという伝説が残っています。このことから、出雲市の佐香神社は日本酒発祥の地と伝えられています。佐香神社は酒造免許を持っており、毎年10月13日には大祭が開催され、境内で醸した濁酒が奉納されます。参拝者はこの御神酒をいただくことができるそうです。佐香神社は日本の酒文化に深く関わり、酒造りにおける伝統と信仰の場所となっています。
住 〒699-0615
島根県出雲市斐川町併川258
問 電話 0853-72-9412
FAX 0853-25-9413
万九千神社
万九千神社は、八百万の神々が酒を酌み交わす直会と旅立ちの場所です。全国から八百万の神々が出雲の国に集まるのは旧暦10月の「神在月」です。神々による神議は、出雲大社だけでなく、出雲地方に存在するいくつかの神社で行われます。各神社での滞在を終えた後、神々は最後に出雲市の万九千神社で直会(なおらい)と呼ばれる宴会を開催します。神々も、人々が打ち上げを楽しむように、ここで酒を交わし、楽しいひとときを過ごします。そして、翌年の再会を約束して、全国各地に旅立つのです。
住 〒691-0074
島根県出雲市小境町108
問 電話 0853-67-0007













